咳の診療の重要性について|大阪市西区 みなみ堀江クリニック

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咳(せき)の診療について

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最終更新日:2023.12.28

咳(せき)の診療について

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咳の診療の重要性

新型コロナウィルス感染症が蔓延して以降、咳症状に悩まれる方が急増しており、咳の診療の重要性が再認識されています。

咳は命に関わる病気ではないからと、安易に咳止めや風邪薬を処方されて経過をみられている患者様が多いのが現状です。

しかし、咳症状は、生活の質を大きく損なうのみならず(睡眠障害、体力の消耗、肋骨骨折、周囲からの目など)、気管支喘息COPD/肺気腫・肺癌・結核・耳鼻科疾患・心疾患・消化器疾患などが背景に潜んでいる可能性があり、注意が必要です。

『咳がでている=咳止め薬という考えは非常に危険です』

咳の出る原因(病態)をしっかり把握し、原因疾患を特定していくことが重要です。

咳の出る原因

咳は迷走神経の刺激により起こるため、迷走神経が分布している臓器(気管、気管支、胸膜、喉頭、食道、外耳など)への刺激や炎症に起因して生じます。そのため、鑑別すべき疾患としては、咳喘息気管支喘息(喘息)COPD/肺気腫、肺癌、逆流性食道炎、心不全、副鼻腔炎(蓄膿症)、ウィルス感染(新型コロナウィルス、インフルエンザウィルス)、細菌感染・肺炎(マイコプラズマ、百日咳)、耳鼻科疾患、など多岐に渡ります。

咳の原因疾患を鑑別するには、咳が続いている期間、咳の出る時間帯、随伴症状(痰、鼻汁、発熱、胃もたれ、頭痛など)、過去の既往歴、家族歴、内服薬の確認、アトピー素因の有無などを確認する必要があります。

教科書的には、咳が続いている期間によって下記の疾患が想定されるとされています。

  • 急性咳嗽 発症〜3週間以内 : 急性上気道炎(かぜ)、感染後咳嗽
  • 遷延性咳嗽 3週間〜8週間 : 感染後咳嗽
  • 慢性咳嗽 8週間〜 : 咳喘息気管支喘息(喘息)、副鼻腔炎、逆流性食道炎

しかし、診療所や急性期病院といった市中の医療機関では、急性咳嗽(発症〜3週間以内)で受診した患者群においても肺癌、肺炎などの重篤化しうる疾患が背景にあることが多く、咳喘息や喘息も多く含まれていることが報告されているので注意が必要です(1)。

咳の原因を特定するために必要な検査

まずは、胸部レントゲンで肺や気道などに病変がないかを確認します。肺癌、肺炎、結核、心不全(心拡大)などがみつかるケースもあります。

胸部レントゲンが問題なければ、呼吸機能検査(呼気一酸化窒素濃度測定、スパイロメトリー)を行います。

咳喘息気管支喘息COPD/肺気腫などの診断につながる可能性があります。問診、胸部レントゲン、呼吸機能検査で疾患の鑑別を行います。

また、疾患の病態を把握するために、血液検査を行うこともあります。

治療について

咳の出る原因疾患を見極め、疾患ごとに適切な治療をおこないます。咳喘息気管支喘息COPD/肺気腫の場合は、吸入治療が主体となり、細菌性肺炎や副鼻腔炎(蓄膿症)の場合は抗生剤治療、逆流性食道炎の場合は胃酸分泌抑制薬になります。

注意すべきは、咳の出る原因疾患は1つとは限らず、2つ以上の疾患が併存している可能性も高いため、病態をしっかり見極め、適切に治療することが大切です。例えば、気管支喘息は、副鼻腔炎や逆流性食道炎を合併することも多く、また、細菌性肺炎により気管支喘息が悪化している病態もあります。咳でお困りの方は、呼吸器専門医による適切な診療を受けて頂くことをおすすめします。

最後に

咳を来す疾患は多彩であり、咳が出る病態を的確に判断し、病態に応じた適切な治療を行うことが重要です。

病態把握を行わずに、安易に咳止め薬に頼ると、咳症状は全く改善せず、背景にある重篤な疾患(肺癌、肺炎、結核、心不全など)を見落とす危険性もあります。

当院では、咳の診療に関して、多くの大病院で研鑽を積んできた呼吸器専門医が責任を持って診療にあたっております。咳でお困りの患者様に適切な診療を提供できるよう、常に最新の知見を取り入れ、エビデンス(科学的根拠)に基づいた診療を心がけております。

咳でお困りの患者様はお気軽に当院へご相談ください。

1. Tajiri T, Kawachi H, Yoshida H, Noguchi S, Terashita S, Ikeue T, et al. The causes of acute cough: a tertiary-care hospital study in Japan. J Asthma. 2021;58(11):1495-501.

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