最終更新日:2025.09.08
急性気管支炎(Acute Bronchitis)

急性気管支炎の症状
- 主症状は『咳』であり数日から場合によっては数週間程度続くこともあります。
- 咳は初期では喀痰を含まない乾いた咳(乾性咳嗽)ですが、経過により喀痰を伴うこともあります。
- 喀痰は透明~白色が多いですが、細菌感染や副鼻腔炎を合併すると黄色や緑色になることもあります(この場合は抗生物質による治療を行うこともあります)。
- 胸部不快感・軽度の胸痛を来すこともあります。
- 発熱を来すこともありますが、微熱であることが多いです。
- 全身倦怠感、咽頭痛、鼻汁、頭痛などの感冒様症状を伴うことも多いです。
- 呼吸困難は通常は軽度ですが、高齢者や気管支喘息(喘息)・COPD・肺気腫などの基礎疾患がある場合は増悪することがあり注意が必要です。
診断
- 症状の経過と身体所見から診断します(臨床診断)
- 身体所見
聴診でラ音(wheeze、rhonchiなど)を聴取することがあります。
ただし所見が乏しい場合も多く注意が必要です。 - 鑑別診断が重要
肺炎(発熱・呼吸苦・全身症状が強い場合は疑う)
喘息やCOPD急性増悪
結核、心不全
検査
必要に応じて行う検査
- 胸部X線
肺炎・結核や心不全との鑑別(浸潤影・心拡大・胸水貯留の有無などを確認します) - 血液検査
白血球増多や炎症反応の有無を確認(通常血液検査は不要ですが、重症例や他疾患の鑑別目的で行うこともあります) - 喀痰検査
重症例や細菌感染が疑われる場合 - 抗原検査
インフルエンザウイルス・COVID-19(新型コロナウイルス)など流行状況や症例によって考慮します。
治療
多くはウイルス性(90%以上)で自然軽快するため、対象療法が中心となります。ただし、百日咳菌やマイコプラズマ、クラミジアなどの細菌感染の可能性もあり注意が必要です。
対症療法
- 鎮咳薬(咳が強く眠れないなどの場合)
- 去痰薬(喀痰が多い場合)
- 解熱鎮痛薬(発熱や痛みがある場合)
- 吸入治療(気管支喘息、咳喘息、COPD増悪を考える場合はβ2刺激薬や吸入ステロイドを検討)
抗菌薬
- 原則不要です(多くががウイルス性のため)
- ただし高齢者、基礎疾患(COPD・肺気腫、心疾患、免疫不全)を持つ患者さまや重症例では細菌感染(百日咳菌やマイコプラズマ、クラミジア)を考慮し抗生剤を投与することもあります。
禁煙
喫煙は症状を遷延させるため禁煙が重要です。
まとめ
急性気管支炎は、ほとんどがウイルス感染による一過性の炎症であり、主に咳を主体とする症状が数日から場合によっては2〜3週間持続することもあります。診断は臨床的に行い、肺炎・心不全など重症疾患を除外することが重要。治療は支持療法が主体で、抗菌薬は原則不要です。ただし、気管支喘息・咳喘息・COPD・肺気腫が背景に潜んでいる可能性もあり、呼吸器専門医による的確な診断が必要となります。
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