副鼻腔炎と喘息の関連性とは?|大阪市西区 みなみ堀江クリニック

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副鼻腔炎と喘息の関連性とは?

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最終更新日:2025.12.09

副鼻腔炎と喘息の関連性とは? 原因・症状・治療をわかりやすく解説しました!

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副鼻腔炎と喘息の意外な関連性

「鼻の病気」と「気道の病気」として、別々に認識されがちな副鼻腔炎と喘息。しかし近年、耳鼻科と呼吸器内科の垣根を越え、「One airway, one disease(ワン・エアウェイ・ワン・ディジーズ)」という考え方が注目されています。

 

One airway, one disease」は、鼻・副鼻腔を含む上気道と下気道(気管・気管支)を一つの連続した気道系としてとらえ、これらの疾患が共通の炎症メカニズムを共有するという考え方です。ざっくりいうと、副鼻腔炎と喘息を別々に治療するのではなく、同じ病的炎症を持つ可能性があるとして、上気道と下気道の治療を一体化して行うべきという考え方です。

例えば、副鼻腔炎で生じる「後鼻漏」は鼻から喉、気管支に流れ込むことで咳や喘息の悪化を引き起こすことがあります。逆に、喘息による慢性炎症が副鼻腔に波及し副鼻腔炎を悪化させるケースもあるため、喘息治療を行う上では副鼻腔炎の治療を併せて行うことが重要です。

 

本記事では、この副鼻腔炎と喘息の関係性をわかりやすく紐解きながら、原因・症状・治療法までを整理してご紹介します。

副鼻腔炎とは?

鼻の周りには 副鼻腔 と呼ばれる空洞(前頭洞・篩骨洞・上顎洞・蝶形骨洞)があり、鼻とつながっています。副鼻腔は顔の骨の内部に存在し、空気や粘液の通り道として重要な役割を担っています。
この副鼻腔に細菌やウイルスが感染したり、アレルギーや構造的な問題で粘膜が腫れることで、排泄されるべき粘液が滞留して起こる状態を 副鼻腔炎 といいます。
一般的に「蓄膿症(ちくのうしょう)」とも呼ばれます。

副鼻腔炎は、風邪の延長で発症する軽度なものから、長期間持続して日常生活に支障をきたす慢性型まで、幅広いタイプがあります。

主な原因

  • 感染症
    風邪などのウイルスや細菌が鼻腔から副鼻腔に侵入
  • アレルギー
    花粉やダニなどによる慢性的な鼻粘膜の腫れ
  • 構造的問題
    鼻中隔弯曲やポリープ(鼻茸)などによる通気障害
  • 好酸球性副鼻腔炎
    アレルギー体質や喘息との関連が深く、免疫細胞である好酸球が関与するタイプ

主な症状

  • 鼻づまり・膿性鼻水(黄色〜緑色)
  • 咳嗽、喀痰
  • 顔面痛・頬や目の奥の鈍痛
  • 頭痛
  • 後鼻漏(喉の奥に鼻水が流れる)
  • 嗅覚障害(匂いが分からなくなる)

副鼻腔炎の症状は風邪(上気道炎)と似ているため、見過ごされることも多いですが、上記のような症状や、3週間以上続く鼻の症状がある場合は急性副鼻腔炎や慢性副鼻腔炎の可能性を考慮すべきです。また、副鼻腔炎は気管支喘息や咳喘息が合併することも多く、注意が必要です。

副鼻腔炎の治療法

  • 急性副鼻腔炎
    抗菌薬、去痰薬、ステロイド点鼻薬、鼻洗浄などで治療
  • 慢性副鼻腔炎
    抗菌薬、去痰薬、ステロイド点鼻薬、鼻洗浄、生物学的製剤(鼻茸を伴う副鼻腔炎の場合)、内視鏡手術による根本治療

副鼻腔炎の放置は、喘息悪化や慢性咳嗽、不眠症につながることがあります。早期発見と適切な治療が、呼吸器を含めた気道の健康維持につながります。

喘息とは?

喘息は、気道(空気の通り道)に慢性的な炎症が起こることで、咳や息苦しさ、喘鳴(ヒューヒュー音)などの症状を引き起こす呼吸器疾患です。アレルゲン(ダニ、花粉など)や気候の変化、ストレスなどが引き金となり、気道が過敏に反応して狭くなることが特徴です。

副鼻腔炎と同様に好酸球の関与やアレルギー体質が関連しているケースも多く、両疾患を同時に抱える患者さまも少なくありません。

咳が長引いたり呼吸が浅くなると咳症状による睡眠障害や肋骨骨折なども来す可能性があり、生活の質にも大きな影響が出るため、早期の診断と継続的な治療が重要です。

喘息についての詳細はこちら

副鼻腔炎と喘息の関連性

副鼻腔炎と喘息は、気道という一つの空気の通り道で起こる疾患のため、両疾患は密接に関連しています。この関連性を理解することは、適切な治療を行う上で重要であり、患者さまのQOL向上につながります。

副鼻腔炎が悪化すると、上気道(副鼻腔、鼻腔、咽頭)から下気道(気管・気管支)に流れる後鼻漏(鼻水が喉に流れ落ちる症状)が生じ、これが気道を刺激して喘息の悪化(咳や喘鳴)を引き起こすことがあります。また、鼻づまりが続くと口呼吸になり、喘息症状が悪化しやすくなります。

特に注目されているのが、好酸球という免疫細胞の役割です。好酸球は鼻粘膜や気道粘膜のみならず全身の臓器・組織に存在し、喘息や副鼻腔炎以外にも食道炎、大腸炎、肺炎などさまざまな好酸球性疾患に関与しています。好酸球性副鼻腔炎の患者さまは、喘息も合併しやすく、両疾患の好酸球性気道炎症メカニズムは相互に影響し合うため、両疾患は並行して治療を行うことが重要です。

また、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)によって悪化するタイプの喘息(アスピリン喘息)では、鼻茸(ポリープ)を伴う副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔炎など)が合併するケースも多く、的確な診断と診療な薬剤選択が求められます。大阪市西区の『みなみ堀江クリニック』では副鼻腔炎と喘息の治療を積極的に行っているため、症状でお悩みの患者さまはお気軽に当院にご相談ください。

好酸球性副鼻腔炎とアスピリン喘息

副鼻腔炎の中でも特に難治性とされる「好酸球性副鼻腔炎」は、従来の慢性副鼻腔炎とは異なる病態を持つ疾患です。好酸球という免疫細胞が活性化し、鼻の粘膜に強い炎症を起こします。好酸球性副鼻腔炎では鼻茸(ポリープ)が多発し、手術加療を行っても再発率が高くしばしば治療に難渋します。

この病態は、呼吸器系にも影響を及ぼすことが多く、喘息が合併する頻度が高くなります。特徴的なのが、アスピリン喘息の合併です。アスピリン喘息とは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を服用すると、急激に喘息症状が悪化するタイプの喘息で、鼻茸・好酸球性副鼻腔炎・NSAIDs過敏症が合併することが多いとされています。

このような患者さんでは、呼吸器専門医や耳鼻科専門医による診断と対処が極めて重要になります。生物学的製剤(抗IL-5抗体、抗IL-5Rα抗体、抗TSLP抗体、抗IL4-Rα抗体など)の併用が必要となることもあります。大阪市西区の『みなみ堀江クリニック』ではこれらの生物学的製剤での治療にも対応しております。

さらに好酸球性副鼻腔炎の患者さまは、手術で鼻茸を除去しても根本的な好酸球性炎症がコントロールされない限り再発しやすいため、手術加療に加え薬物療法(抗菌薬、去痰薬、ステロイド点鼻薬生物学的製剤など)を行うことが基本方針になります。好酸球副鼻腔炎をコントロールすることで喘息症状の緩和につながることが多くあります。

患者さんにとっては「鼻」と「気道」が別々に考えられがちですが、この章でお伝えしたいのは、両者は一つの炎症プロセスの両端であり、互いに治療効果を高め合う関係であるということです。

治療の選択肢と生活への影響

副鼻腔炎と喘息の治療は、「症状の緩和」だけでなく、再燃予防と生活の質(QOL)の向上(臨床的寛解)を目指して行っていきます。特に両疾患が併存・合併している場合は、両疾患を同時に改善させる治療戦略が求められます。

副鼻腔炎に対する薬物療法

  • 抗生物質
  • ステロイド点鼻薬
  • 去痰薬や抗ヒスタミン薬

喘息に対する薬物療法

  • 吸入ステロイド(気道炎症の抑制)
  • 長時間作用型β2刺激薬(LABA
  • 長時間作用型抗コリン薬(LAMA
  • ロイコトリエン受容体拮抗薬
  • 生物学的製剤(抗IL-5抗体、抗IL-5Rα抗体、抗TSLP抗体、抗IL4-Rα抗体、抗IgE抗体など)

治療薬は各々の患者さまの病態に応じて個別化されるため、病態把握のための適切な検査(画像検査、呼吸機能検査、血液検査など)と薬剤選択が重要です。

薬物治療で効果が見られない場合や、鼻茸(鼻ポリープ)がある場合、鼻の中の構造が原因で炎症が続いている場合は手術加療が検討されます。手術では、炎症を起こしている副鼻腔の粘膜を取り除き、鼻腔と副鼻腔の間の出口を広げることで、換気と排泄を改善し、鼻の機能を回復させることを目指します(内視鏡下副鼻腔手術)。手術加療により副鼻腔炎が改善すると喘息のコントロールも改善されることが多いです。

ただし、好酸球性副鼻腔炎の場合は再発率が高いため、術後も薬物治療(場合によっては生物学的製剤)を継続する必要があります。

手術加療が必要と判断した場合は速やかに連携施設にご紹介させて頂きます。

生活への影響と注意点

副鼻腔炎・喘息ともに、季節変化・ストレス・アレルゲンの影響を受けやすいため、以下のような工夫が大切です。

  • 室内の空気清浄
  • ダニ・花粉対策(寝具の清掃、空気清浄機)
  • 感染症予防(手洗いうがい・マスク)
  • 禁煙および受動喫煙の回避

また、症状が落ち着いている状態でも、ご自身で治療中断を判断せず、医師の診察に基づいた適切な治療期間、治療を行って頂くことが重要です。「良くなったから薬をやめる」といった判断は再発のリスクを高めてしまいます。

日常生活で気をつけること

副鼻腔炎と喘息はどちらも慢性的に経過することが多く、日々の生活習慣や環境の管理が症状の安定に大きく影響します。ここでは、患者さまが実践できる具体的な工夫と注意点をご紹介します。

気道を守る環境づくり

  • 室内の空気清浄
    ハウスダスト・花粉・乾燥を防ぎましょう。
    コロナウィルスやインフルエンザウィルス流行期間は外出時のマスク着用も重要です。

アレルゲン対策

  • 寝具のこまめな洗濯・乾燥
    特に布団や枕はダニの温床になるため、天日干しや乾燥機を活用すると効果的です。
  • ペット飼育
    症状を悪化させないために、ペットをこまめに洗うこと、部屋をこまめ掃除すること、寝室を分けることが重要です。

ストレス・体調管理

  • 十分な睡眠
    睡眠不足は症状の悪化につながるため、十分な睡眠を心がけましょう。
  • 無理なくできる運動習慣
    ウォーキング・ランニングや筋力トレーニングなどの運動は、呼吸筋を鍛えることにつながりますので継続的に取り入れるようにしましょう。
  • ストレスケア
    精神的な疲労・ストレスは症状悪化につながりますので、精神的なストレスを溜めないようにしましょう。

禁煙・受動喫煙の回避

タバコの煙は副鼻腔・上気道・下気道(気管・気管支など)の炎症を悪化させます。禁煙のみならず、他人の煙にも注意を払い受動喫煙も避けることが重要です。

よくある質問

鼻づまりと咳が続いています。副鼻腔炎と喘息が関係している可能性はありますか?

あります。鼻づまりによって口呼吸が増えたり、後鼻漏が下気道を刺激することで咳が悪化するケースがあります。耳鼻科・呼吸器内科の両方での診察がおすすめです。

好酸球性副鼻腔炎って、普通の副鼻腔炎とどう違うの?

好酸球性副鼻腔炎は、鼻茸(鼻ポリープ)を伴い通常の副鼻腔炎よりも再発率が高く難治性の病態です。好酸球が関与しており、気管支喘息を合併することも多いです。治療を行う上で、耳鼻科専門医・呼吸器専門医の診察を受けていただくことが重要です。

鎮痛薬を飲んだら咳がひどくなりました。これってアスピリン喘息?

可能性はあります。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用により喘息症状が悪化する「アスピリン喘息」は、鼻茸を伴う副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔炎)を合併することが多いです。早めに呼吸器専門医の診察を受けましょう。

治療はいつまで続ければいいの?

症状が落ち着いた後も、治療を継続することで再発・再燃予防になります。特に好酸球性副鼻腔炎の場合は、喘息を合併することが多く、治療が長期にわたることが多いため、自己判断で中断せず医師の指示を守ることが大切です。

生活で気をつけることは?

室内の掃除を徹底すること、アレルゲン対策、禁煙、十分な睡眠、ストレスケアを行うことが重要です。

【著者 / 医師名】南 和宏

資格
  • 医学博士
  • 日本呼吸器学会 呼吸器専門医
  • 日本呼吸器外科学会 呼吸器外科専門医
  • 日本外科学会 外科専門医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
  • 肺がんCT検診認定機構 肺がんCT検診医
  • 日本結核・非結核性抗酸菌症学会 認定医
  • 難病指定医
  • 大阪市身体障害者福祉法指定医(呼吸機能障害)
  • 緩和ケア研修会終了
専門分野

呼吸器・アレルギー疾患

最終更新日:2025.12.09

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